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2009年11月 1日更新 |
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第 14 章 | 合歓の花 | 平成14〜21年作品 |
新 年 |
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初富士のむかふに繋ぐ夢いくつ | 初夢の三猿しかと語りけり |
期することあり鶏旦の仄明り | 山海のかをりほどよき雑煮かな |
愛犬の声も混じりて初電話 | 景品の七草籠を貰ひけり |
初暦白き華甲へ旅立てり | 息災の祈りあふるる初便り |
二日早透析室に生かさるる | 緑濃し友の育てし若菜かな |
は る |
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梅二月いとやはらかき筆づかひ | かたかごのうれしきときもうつむきて |
まつさをな空をこぼして糸桜 | 花すみれ風の流れにさからはず |
東雲の空ふるはせて初桜 | かろらかにしづはたやまのはつざくら |
大御所の懐深し山桜 | 山桜海より人の現るる |
カタカナの名を確かめし花の種 | 春の海まあるき地球とこしなへ |
な つ |
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ひるがほのふたつがさみしひとつより | 大いなる影したがへしあめんぼう |
蛍火やかつて瑞穂と呼びし国 | 牡丹の白の極みの白き影 |
合歓の花うつつにありて夢十夜 | 思ひとや蛍袋のふくらめり |
二冊目の透析日誌夏に入る | 青田風透析室に吹き入れよ |
渚まで全速力の素足かな | きつぱりと病名告ぐる日焼医師 |
あ き |
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一つ枝に白粉花の紅と白 | 死は生の一部なりけり蛍草 |
爽やかに新訳「星の王子様」 | 細胞にいのち吹き込む新豆腐 |
舶来の朝顔といふ碧さかな | 朝顔の紺の一滴空染むる |
われもまた銀漢の尾にまぎれたき | につぽんの行方見つめる赤とんぼ |
鉦叩宇宙の鼓動刻みをり | 冷まじや癌細胞を叩く音 |
ふ ゆ |
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落葉して宇宙の中のひとりかな | 銀色の中の黄金冬木の芽 |
霜の声又三郎を眠らせて | 足裏に戻りし力霜柱 |
水鳥の高層ビルを揺らしをり | 水紋のどこか揺らぎて浮寝鳥 |
冬晴れの匂ひ持ち来る見舞客 | 病室の空小さかり冬茜 |
地方紙に包まれ届く根深葱 | 笹鳴きだとて一日にして成らず |