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2002年 5月11日更新 |
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第 11 章 |
鷺 草 |
平成11年作品 |
は る | |
冴返る星のあはひの変はらざり | 近づきて相寄らざりし春の星 |
春の日にかざして見たるたなごころ | またひとつ路線消えゆく三月尽 |
うららかや大型バスに客ひとり | ほんたうは桜守なり朝の月 |
水音の桜ほろほろ山頭火 | ゆで卵きのふもけふも花曇り |
淡点のあみかけもやう花の雨 | 鉢植ゑの葱にも生れし葱坊主 |
な つ | |
花みかん母より声の定期便 | 鷺草やふと立ち止まる午後の風 |
あ き | |
虫の声とぎれし不安ありにけり | |
ふ ゆ | |
公園の鳩のあはひに日向ぼこ | 鉢植ゑの葱にて足るるくらしかな |
善し悪しきつぱりと言ふちゃんちゃんこ | 声あらばビルの谷間の冬すみれ |
拭ひたる葉の裏表室の花 | 日脚伸ぶ手渡しされし夕刊紙 |