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2002年 1月 1日更新 |
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第 9 章 | 花 八 手 | 平成8年作品 |
新 年 | |
新聞に震の字多し去年今年 | 人日の図書館にはや指定席 |
は る | |
蝌蚪あまたゐて動かざるひとつかな | しばらくは潮騒に添ふ夕蛙 |
な つ | |
鯉のぼり風変はるとき息継げり | 新築の家ごと匂ふ五月闇 |
水打ちて我を待ちゐし母ありし | 片蔭を繋げてゆきし乳母車 |
アトランタ走り抜けたる汗清(すず)し | 夕顔のほどけてこころしづまれり |
あ き | |
新涼の風に発ちたるひとり旅 | 北側の土手彩やかに曼珠沙華 |
貝割菜人に幸せ不幸せ | |
ふ ゆ | |
着ぶくれてうしろの正面だあれとや | 褒貶のらちがいにゐて花八手 |
くさめして携帯電話切れにけり | ゆつくりと水含ませり室の花 |
枝払ふつもりの枝に冬木の芽 | |