2001年 5月11日更新


表札に母の名残るつばめの子

新緑の美しい季節を迎えました。緑も風も光も生き生きとしています。時間の流れを感じる季節でもあります。
ホームページを開設してから早1年が経とうとしています。まだまだ未熟ですが、今後も新しい技術を習得しながら続けていきたいと思っています。
今回は平成2年の作品をご紹介いたします。


平成2年5月、一念発起してワープロの技術を習得。約3ヶ月間、夜間講座に通った意義は大きく、以後、体力的な面でも自信に繋がったような気がします。
ファクシミリを設置することで、在宅勤務が可能になり、わが家もOA化。週3日のアルバイトと在宅勤務との生活に慣れるために2年の月日を要しました。いわば生活再構築の時期。
静岡俳壇の選者である野呂先生が逝去され、選者が交代したこともあり、平成3〜4年は投句を休みました。

第 6 章

沙羅の花

平成2年作品


は る
そこまでは爪先歩き蕗の薹 うららかや迷ひて届く招待状
花冷えの紙人形に紅すこし 春鏡欠伸の前の顔なりし
小面の裏側にある朧かな 寡黙なる老医師の目のあたたかさ
な つ
カナダ米なる豆飯の匂ひかな 渦巻きのいくつ生まれし水すまし
ワープロの習ひ始めの汗湿り 風の道探してゐたり昼寝覚
沙羅の花ひとりのくらし貫けり かき氷甘さの底に崩れをり
空席は西日当たりし一つかな 草の先捕へて重し夏の蝶
あ き
木守柿たつたひとつのための空  
ふ ゆ
霜焼けの手にも温もりありにけり 悴かみし手の堂々と署名せり
咳き込みて銀の座席をゆづらるる