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2001年 5月11日更新 |
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第 6 章 |
沙羅の花 |
平成2年作品 |
| は る | |
| そこまでは爪先歩き蕗の薹 | うららかや迷ひて届く招待状 |
| 花冷えの紙人形に紅すこし | 春鏡欠伸の前の顔なりし |
| 小面の裏側にある朧かな | 寡黙なる老医師の目のあたたかさ |
| な つ | |
| カナダ米なる豆飯の匂ひかな | 渦巻きのいくつ生まれし水すまし |
| ワープロの習ひ始めの汗湿り | 風の道探してゐたり昼寝覚 |
| 沙羅の花ひとりのくらし貫けり | かき氷甘さの底に崩れをり |
| 空席は西日当たりし一つかな | 草の先捕へて重し夏の蝶 |
| あ き | |
| 木守柿たつたひとつのための空 | |
| ふ ゆ | |
| 霜焼けの手にも温もりありにけり | 悴かみし手の堂々と署名せり |
| 咳き込みて銀の座席をゆづらるる | |