2001年 4月 1日更新

春がきた 春がきた どこにきた 山にきた 里にきた 野にもきた

さみしさに慣れ春蘭のうすみどり

3月になっても余寒の日々が続いていましたが、お彼岸に入り、急に春めいてきました。ぽかぽか陽気に誘われるように、3月23日に静岡にも桜の開花宣言が出ました。例年より1週間も早いということです。いよいよ春到来 。
花粉アレルギーに悩まされる人にとっては、まだまだ油断は禁物。呉々もご自愛下さい。
今回は平成元年の作品をご紹介いたします。


1月8日に昭和天皇が崩御され、年号が平成と変りました。
また、4月から消費税が導入され、1円玉が見直されるようになりました。
「奥の細道」を繰り返し読みました。この頃から種田山頭火や尾崎放哉などの無季、自由律俳句作品も読み始め、俳句がだんだん難しくなっていくような気がしました。
俳句は詩。詩とは?

第 5 章

たんぽぽ

平成元年作品


新 年
添書きの行間を読む賀状かな  
は る
食制限少しゆるめて寒明くる 白木蓮までの目測あやまてり
つくし摘む視野のどこかに富士の山 一円の重さを足して花便り
たんぽぽのぽつんとここも風の道  
な つ
薫風を少し入れたき名画館 麦秋を来てルノアールの絵に向ふ
師の句集一気に読みて青嵐 芍薬や負けず嫌ひは母ゆづり
花柄のリボンまぶしき街薄暑 香水の香にまぎれたる自己主張
香水の適量といふ思ひやり くちなしの香に弾かれて雨やどり
色あせし昨夜の一句明易し のど飴を買ひ足す旅の冷房車
相づちを打つ母のゐて日々草 パラソルをたたみて無口きはまれり
あ き
静岡の水の美さよ今朝の秋 草の絮風の訪ひかけ待ちてをり
花野来てよりの無口となりにけり 地に落ちて蓑虫の迷ひ始まりぬ
不揃ひもありてうれしき青みかん 電話にも追伸ありて秋の夜
紅葉山より速達の届きけり また一つ田を埋め立てし神の留守
ふ ゆ
北側の席を選びて冬の海 北側の枝にもありぬ冬木の芽
長電話切るきつかけのくさめかな